【専門医監修】愛犬の皮膚を守ろう!|スキンケアの基礎知識
犬の皮膚(表皮)の厚さは人の約1/3程度しかなく、とってもデリケート!
さまざまな影響を受けやすい皮膚は、「健康のバロメーター」ともいわれています。
今回は、皮膚科専門医の大嶋有里先生にスキンケアの基礎知識を教えていただきました。
正しいスキンケアの考え方を知って、愛犬の皮膚を守りましょう。
そもそもスキンケアってどんなこと?
これこそ!といった決まりはありませんが、「皮膚を健康に保つための日常的なお手入れ」を広くスキンケアと呼びます。
スキンケアは、人では長い間「美容」として認識されてきましたが、最近は医療の面で取り入れられるケースが増えています。その理由は、大気汚染や紫外線などの環境の変化が、皮膚の健康に影響を与えることが分かってきたからです。
一方どうぶつの医療では、残念ながら人ほどスキンケアに関する研究が進んでいません。
皮膚に不調があって動物病院へ来院する飼い主さんは多いため、治療に関する研究は進んでいるのですが、そこに至るまでの予防的なスキンケアは、なんとなく後回しになってしまう状況があるのかもしれません。
環境の変化は人と同じく犬にも影響があることですし、高温多湿な日本の環境に合わない犬種が増えてくるなど、むしろワンちゃんのスキンケアこそ重要視されるべきだと考えています。
スキンケアの3つの目的
スキンケアの目的は大きくこの3つ。
- 見た目を美しく保つ
- 皮膚の不調をやわらげる
- 皮膚病の予防
特にトイ・プードルやシーズーなどのカットが必要なワンちゃんは、定期的にトリミングに行ったり、カットが不要なワンちゃんもおうちでシャンプーをすることが多いのではないでしょうか。
見た目を美しく保つための「美容的なスキンケア」は、毎日を気持ち良くすごすためには大切ですが、獣医療的にはそれほど重要ではありません。
対して、皮膚の不調をやわらげたり、皮膚病予防を目的とした「獣医療的なスキンケア」は、皮膚を健康に保つためには必要不可欠です。
「美容的なスキンケア」に、意識的に「獣医療的なスキンケア」を取り入れることで、健康的な美しさを目指しましょう。
スキンケアを実践する前に
大前提として、シャンプーを含むスキンケアは、ワンちゃんの皮膚の特徴に合ったものでなくてはいけません。まずは動物病院で「愛犬の皮膚の特徴」「特徴に合ったシャンプー剤」を教えてもらいましょう。
皮膚の特徴を知ることで、シャンプーの時に気をつけることや注意点なども知ることができます。
【例】
皮膚の特徴:全体的に乾燥しやすい
シャンプー:保湿系のシャンプー
注意点:水温を35℃以下にする、タオルドライはこすらないように
このように、実践前に愛犬の皮膚の特徴と正しいスキンケア方法を知っておくと、安心してスキンケアに取り組むことができますね。
スキンケアを実践するときの3つのポイント
皮膚を清潔に保つ
古くなった皮脂(ひし)・皮膚を取り除く
乾燥から皮膚を守る
人では当たり前に行われていることですが、犬にとってもこの3つのポイントが皮膚を健康に保つための基本です。
皮膚は日々新しい細胞が生まれ、古くなった細胞が角層の細胞となり、はがれおちてフケになります。これをターンオーバーとよびます。
皮膚の汚れは、皮膚の一番外側で、この古い皮膚細胞や皮脂と混ざりあっています。
その混ざりあった皮脂と汚れ・古い皮膚細胞をシャンプーなどの洗浄剤で取り除くことで皮膚の清潔を保つことができます。
ただし、皮膚にとって必要な皮脂まで取り除いてしまうと、乾燥を引き起こす原因になります。他にも間違ったスキンケアによって、このターンオーバーが乱れて皮膚に症状が出てしまうことがあります。
事前に愛犬の皮膚の特徴を知って、適切なシャンプー剤を使い、正しいスキンケアを実践することが、健康的な皮膚を守ることにつながります。
まとめ
「犬のスキンケアの基礎知識」について、いかがでしたか?
皮膚の不調は、ワンちゃんにとってストレスになることが多く、長い期間生活の質(QOL)を下げることになりかねません。
皮膚の不調を引き起こす原因は、食物のアレルギー、ほこり・花粉・大気汚染など環境の変化、細菌や寄生虫の感染、身体の中の不調など本当にさまざまです。
でも正しいスキンケアを実践することで、そのリスクを下げたり、病気を予防することができます。
まずは愛犬に合ったスキンケア方法を、かかりつけの動物病院または獣医皮膚科専門医にご相談ください。
皆さまがワンちゃんの正しいスキンケアを知って実践できるように、ぜひ他の関連記事も参考にしてくださいね。