Column

コラム

  1. HOME
  2. コラム
  3. 予防・健康促進(一次予防)
  4. 【専門家監修】犬の上手なブラッシング方法と役割|お手入れの基礎知識

【専門家監修】犬の上手なブラッシング方法と役割|お手入れの基礎知識

犬の大切なお世話のひとつ「ブラッシング」。
実は、多方面でさまざまなメリットがあることをご存じですか?

今回は犬の行動のプロであり、トリミングサロンを経営されている中島秀輔先生に、ブラッシングに必要な基礎知識や心構えなどを教えていただきました。
正しいお手入れやケア方法を知って、愛犬の心と身体の健康を守りましょう。

監修

中島 秀輔 さん

ワンズアップ株式会社 代表取締役

プロフィールを見る≫

ブラッシングの役割と3つのメリット

皆さまはどのような目的で愛犬のブラッシングをしていますか?
もしかしたら「毛が抜けて掃除が大変だから」という飼い主さんが多いかもしれません。

でも、その他にもブラッシングの本来の役割やメリットはたくさん!
大きく3つに分けてご紹介します。

① 皮膚と被毛を健康に保つ(健康面)

ブラッシングによって、地肌や被毛の状態をよく観察することができます。
そのため、皮膚の異常やノミ・ダニなどの外部寄生虫の発見に繋がりやすくなります。

また不要な抜け毛や毛もつれ、毛玉を取ることで皮膚の蒸れを防ぎ、皮膚の健康を保つこともできます。
さらに皮膚に適度な刺激を与えることで皮膚の血行が促され、マッサージ効果も期待できます。

② 身体の表面の汚れを落とす(衛生面)

お散歩や毎日の生活のなかで、犬の被毛の表面にはホコリや汚れ、フケなどが付着します。
ブラッシングで抜け毛と一緒にそれらの汚れを取り除くことで、皮膚・被毛を清潔に保つことができます。

またシャンプーの時、不要な抜け毛を取っておくことで皮膚表面にシャンプー剤が届きやすくなり、皮脂汚れなどが落としやすくなります。

③ 犬とのコミュニケーション(心理面)

ブラッシングは、飼い主さんとのスキンシップの一環としても大切な役割があります。

また身体全体を触られ慣れることで、トリミングサロンや動物病院でもストレスを感じづらく、落ち着いて振る舞えるようになるでしょう。

ブラシの種類

スリッカーブラシ(全犬種におすすめ)

代表的なブラシで、抜け毛や毛もつれを取り除いたり、皮膚に適度な刺激を与えて血行を促す役割があります。

四角い面に細い針金状の「ピン」がたくさんあり、1本1本がとがっているのが特徴です。
力加減や使い方を間違えると、犬が痛がったり皮膚を傷つける原因になるため、注意が必要です。

コーム(全犬種におすすめ)

こちらも代表的なブラシのひとつで、目が荒く細長い形状が特徴です。

スリッカーブラシで取り除いた抜け毛や毛もつれが残っていないか、確認する役割があります。
毛をとかした時に引っかかれば、その場所を再びスリッカーでとかします。

強い力でとかすと毛玉を直接引っ張ることになるため、犬が痛がってしまいます。
優しい力でとかしてあげましょう。

ピンブラシ(毛が長い犬におすすめ)

毛足の長い犬(5㎝以上)で、頻繁にブラッシングをする場合に最適なブラシです。
ピンの根元にクッション性があるため、必要以上に皮膚を引っ張りにくく、痛みが出づらいのが特徴です。

一方、スリッカーブラシのように抜け毛や毛もつれを取り除くことが難しいため、スリッカーブラシやコームと組み合わせて使うことをおすすめします。

ご紹介した3つのブラシの他にも、さまざまなブラシが販売されています。
大切なことは、愛犬の被毛に合わせて道具を選ぶことです。

短毛種、長毛種、毛が柔らかい子・硬い子、量が多い子・少ない子など、同じ犬種でもワンちゃんのよってさまざまな個性があります。
より愛犬に合った道具を正しく選ぶためには、プロが実際に目で見て、状態を確認する必要があります。

ご希望の場合は、トリミングサロンや動物病院にご相談くださいね。

ブラッシングの前に

犬がブラッシングに慣れていない、またはトラウマがある場合、いきなりブラシを当てようとすると怖がってしまうことが多くあります。
将来的にブラッシングをスムーズに行うためには、ゴールに急がず、低いステップから少しずつ取り組むことが大切です。

次にご紹介するステップに沿って、進めてみましょう。

① 犬に「見せる、嗅がせる、伝える」

まずは犬にブラシを観察してもらいましょう。
犬はブラシの匂いを嗅いで「これはなにかな?」と興味を示すと思います。

そこで、落ち着いた声で「ブラシできれいにしようね」などと犬に伝えます。
犬は「人間の言葉がわからない」わけではありません。
飼い主さんの言葉を深く理解できなくても、その声色や場の雰囲気を察することが得意です。

「これから起こることは怖くないよ」という気持ちを愛犬に伝えることで、ワンちゃんも安心することができます。

② ブラシの裏側で、軽く犬の身体を触る

ピン側でブラッシングを始める前に、犬に身体の表面にブラシが当たることに慣れてもらいましょう。

特に足先は敏感な場所です。
手で優しく触りながら、ブラシを軽くポンポンと当てていきましょう。

③ ピン側で軽く犬の身体を触る

ピンが急に皮膚に当たると刺激を感じるため、犬が驚いてしまいます。
嫌がる手前、犬が我慢できるところまでで手を止め、上手にできたことを褒めてあげましょう。

最初から無理をせず、①~③のステップを繰り返し行いましょう。
犬がブラシに慣れて「ブラッシング = 褒められる、嬉しい」という印象をもつことで、やっとスムーズなブラッシングができるようになります。

ブラッシング方法

まずは犬が嫌がらない場所から、優しくブラッシングを始めましょう。

首や背中は、比較的スムーズにブラッシングできる場合がほとんどです。
皮膚の根本ではなく、毛先あたりから毛のもつれを取るように進めましょう。

詳しい方法は、こちらの動画でもご確認ください ↓

なお犬の皮膚の厚みは人間の1/3程度しかないため、力加減には十分注意して行いましょう。
事前に飼い主さんの腕などにブラシを当てて、痛くない程度の力加減を確認しておくと安心です。

まとめ

ブラッシングは、さまざまな面でたくさんのメリットがあります。
愛犬とずっと元気に健康で過ごすためにも、できるだけ毎日行うようにしましょう。

なお一度毛玉ができてしまうと、おうちでは取り切れない場合もあります。
無理をするとワンちゃんの皮膚を傷つけてしまうこともあるため、少しでも不安なことがあれば、お近くのトリミングサロンや動物病院にご相談くださいね。

このコラムが、皆さまと愛犬のよりよい関係性と健康に繋がることを心より願っています。
ぜひ下の関連記事も参考にしてくださいね。

関連記事