【専門医監修】愛犬の皮膚を守ろう!|おすすめのシャンプー方法
犬も人間と同じように、皮膚の清潔を保つなど、日頃のスキンケアが大切です。
今回は、皮膚科専門医の大嶋有里先生におすすめのシャンプー方法を教えていただきました。
正しいスキンケアを知って、愛犬の皮膚を守りましょう。
目次
スキンケアはオーダーメイド!
まず大前提として、シャンプーを含むスキンケアは、ワンちゃんの皮膚の特徴に合ったものでなくてはいけません。
特に皮膚病予防や治療が目的の「獣医療的なスキンケア」の場合は、その時の皮膚の状態によって、使用するシャンプー剤・量・洗い方・乾かし方・次回のシャンプーの間隔などを適切に調整する必要があります。
スキンケアの基礎知識についてはこちらの記事をご参照ください ↓
正確にお伝えすると「正しいシャンプー方法はワンちゃんによって違う」という結論になってしまいますが、おすすめする基本的なシャンプー方法があります。
現在皮膚に心配ごとがないワンちゃんは、ぜひご紹介する方法をお試しください。
また皮膚治療中のワンちゃんでも、飼い主さんに基本のシャンプー方法を知っていただき、少しでも皮膚の状態をよくするためにお役立ていただけたら嬉しいです。
シャンプー前の準備:ブラッシングで汚れ・抜け毛を取り除きながら、皮膚の状態を確認しましょう
まずは、シャンプーの前にブラッシングをしましょう。
ある程度汚れや抜け毛を取り除いておくことで、シャンプー剤が皮膚に届きやすくなったり、乾かす時間が短くなって皮膚の乾燥を防げます。またその時に、皮膚の状態を確認しておきましょう。
治療・予防目的の場合は、前回のシャンプー後からどんな変化があったのか、忘れないようにメモしておきましょう。
皮膚に症状がない場合でも、このタイミングで皮膚の状態を確認することをおすすめします。
身体に傷はないか、赤みや湿疹はないか、ノミ・ダニに寄生されていないかなどをチェックしましょう。
何か症状がある場合は、動物病院で早めに診察を受けてくださいね。
たくさん種類があるけど…どんなブラシを選べばいいの?
使用するブラシは、ワンちゃんの被毛によって適切なものを選びましょう。
ワンちゃんの皮膚の状態に加えて、毛の長さ・固さ・量などは、同じ犬種でも個体差があります。
ブラシを選ぶ時に大切なことは、必ず「検証をすること」です。
ワンちゃんが心地よく感じているか、また汚れや抜け毛を取り除きやすいブラシはどれか、いろいろ試してみましょう。
基本的には、長毛種はステンレスのコームやピンブラシ、短毛種は獣毛ブラシをお薦めします。
スリッカーブラシは、ブラッシングの時に皮膚を傷つけてしまうことがあります。
皮膚に症状がある場合は、慎重に行いましょう。
ブラッシングの方法は?
ブラシを体の表面に斜めに当てながら、毛の流れに沿って優しくなでるようにしましょう。
まずは飼い主さんの手の甲で体感してみると、ブラッシングの心地や力加減が分かりやすいのでお薦めです。
ステップ1:ぬるま湯 or 水で前洗いしましょう
水温は、35度くらいのぬるま湯、もしくは冷水で設定しましょう。
温かいお湯だと皮脂を過剰に取り除いてしまい、皮膚の乾燥を引き起こす可能性があります。
特に皮膚に赤み・かゆみなどの症状がある場合、乾燥で痒みが強くなって更に引っ掻いてしまい、症状が悪化することがあります。
ワンちゃんが寒そうにしている場合は、お部屋の温度をあげるなどの工夫をしましょう。
ステップ2:シャンプー剤を泡立ててから、やさしく洗いましょう
洗面器に入れたシャンプー剤をシャワーで泡立てましょう。
シャンプーを泡立てることで、皮膚との摩擦を起こしづらく、負担が軽くなります。
そして泡を皮膚の表面にまんべんなく、やさしく塗り広げましょう。
犬の皮膚は人に比べてとても薄く傷つきやすいので、指でマッサージするように丁寧に洗います。
※クロルヘキシジンやミコナゾールなどの成分を含む抗菌シャンプーは、濃度が薄まると効果が落ちてしまう特徴があります。必ず原液を手にとってから塗り広げましょう。また薬用シャンプー剤の使用方法等については、動物病院の指示に従いましょう。
ステップ3:十分にすすぎ、タオルでやさしく水分をふき取りましょう
シャンプー剤が身体に残ると、痒みや皮膚症状の悪化を招くことがあります。十分にすすぎ洗いをしましょう。顔から頭、頭から首、首から背中、背中から足と、高い位置から順にすすぐことで、効率よく洗い流すことができます。
十分に洗い流せたら、皮膚にタオルを押しつけるようにして水分をふき取ります。
この時、ゴシゴシと皮膚をこすらないように注意しましょう。摩擦によって、ふやけた皮膚を傷つけてしまう恐れがあります。
ドライヤーで乾かす必要があるの?
ドライヤーは適切なブラシと同じく、ワンちゃんの皮膚の状態、毛の性質、ワンちゃんの性格などで必要性が異なります。
長毛種で毛が細く絡まりやすい場合は、美容的な観点からドライヤーを使ったほうが良いでしょう。
特に、トイ・プードルやマルチーズ、ヨークシャー・テリアなどのカットが必要な犬種は、タオルドライの時に毛が絡みあうことで、毛玉になってしまう場合があります。
毛玉は皮膚の通気性を悪くし、蒸れの原因になります。
シャンプー前後にしっかりブラッシングをする、ブラシでとかしながら乾かすなど、なるべく毛玉にならないように気をつけましょう。
ドライヤーで乾かす場合の温度は?
皮膚が健康な場合は低温で、皮膚に症状がある場合は、冷風で乾かしましょう。
熱風だと皮膚が乾燥しすぎてしまい、更に痒みがでてきてしまう可能性があります。
どの程度乾かせばいいの?
人では完全に乾かすことが推奨されているため、ワンちゃんの場合でもしっかりと乾かす人がほとんどです。ただし個人的には、生乾きによって皮膚病を発症したり、皮膚状態の悪化にはつながらないと考えています。
乾燥しすぎて皮膚の症状が悪化するよりは、ほどほどに乾かす程度でいいと思います。
ステップ4:シャンプー後の皮膚の状態を観察しましょう
シャンプー前に確認した状態からどんな変化があったか観察し、メモに残しておきましょう。
特に治療目的でシャンプーをする場合は、飼い主さんの他に、獣医師、看護師さんやトリマーさんの三者がシャンプーの効果を検証することが大切です。
シャンプー前後に加えて、次のシャンプーまでにどんな変化があったのかも全員で観察しましょう。
違う視点で効果を検証することで、より愛犬に合った方法や内容で治療・予防を行うことができます。
「梅雨時期は悪化しがちだから、このシャンプーを使うと調子が良い」
「このシャンプーは時期を問わずあまり合わない」などある程度パターンがつかめると、1年をとおして皮膚の状態を管理しやすいですよ。
まとめ
「おすすめのシャンプー方法」はいかがでしたか?
犬の皮膚(表皮)の厚さは人の約1/3程度しかなく、とってもデリケートです。
愛犬の皮膚の健康を保って病気を予防するためには、シャンプーをはじめとする日頃のスキンケアが大切です。
そしてご家族だけでなく、獣医師、看護師さん・トリマーさんなど、チームとなってワンちゃんの皮膚の健康管理に取り組むことが、皮膚の良い状態を長く維持することにつながります。
今回の記事を参考に、愛犬に合ったスキンケア方法について、まずはかかりつけの動物病院または獣医皮膚科専門医にご相談ください。
皆さまがワンちゃん・ネコちゃんの正しいスキンケアを知って実践してもらえるように、ぜひ他の関連記事も参考にしてくださいね。