
【獣医師監修】本当は怖い!犬猫の睡眠不足|病気予防のキホン
愛犬・愛猫がよく眠れているか、意識したことはありますか?
日中ずっとウトウトしている、熟睡している様子をみない、そんな場合は、病気が隠れているかもしれません。
今回は、獣医師の伊藤裕行先生に犬猫の寝不足と病気の関係性について教えていただきました。
睡眠不足を解消して、愛犬・愛猫の健康を守りましょう。

人中心のライフスタイルが犬猫の負担に
人と犬猫の暮らしは歴史が古く、ワンちゃん・ネコちゃんは長い間、私たち人間に寄り添ってきてくれました。いまも、私たちのライフスタイルに合わせて生活してくれていますね。
でも、どうぶつが生活スタイルを変えるというのは、とてもストレスがかかるものです。その影響は、特に睡眠と腸に現われやすいと考えられます。
人間では、ストレスが睡眠や腸に与える影響について研究が進んでいますが、犬猫ではどうでしょうか。残念ながらあまり研究が進んでおらず、耳にする機会も少ないと思います。
大切な家族である愛犬・愛猫の健康を守るために、まずは「犬猫の睡眠と健康の関係性」について知っておきましょう。
気づいていますか?愛犬・愛猫の睡眠不足
愛犬・愛猫の睡眠の状況について、病院に来院した飼い主さんにアンケートを実施してみました。
「愛犬・愛猫は、睡眠がしっかりとれていますか?」
この質問の結果、755頭* のうち、飼い主さんが睡眠不足を認識している犬猫は79頭* でした。
*犬猫の合計頭数
改めて考えさせられたのは、「分からない」と回答した飼い主さんが多いことです。
アンケート結果だけをみると、睡眠不足の犬猫は少ないように見えますが、飼い主さんが気づいていない睡眠不足の犬猫がたくさんいるかもしれないということです。
犬猫が睡眠不足になる原因は?
睡眠不足を引き起こす原因はさまざまですが、大きく2つに分けられます。
原因1:「環境的なストレス」
比較的、若い犬猫に多い原因のひとつで、物音や気温、光、身体に合わない寝具などが、眠りを妨げている場合です。
特に飼い主さんが夜更かししていると、テレビの音や電気の光などで熟睡することができません。
具体的なケースをあげてみましょう。
「お父さんは夜更かし、お母さんは早起き」
この場合、リビングで寝ている犬猫の睡眠時間はどうでしょうか。
必然的に削られてしまい、「遅寝早起き」になってしまいますよね。
このように飼い主さんが知らず知らずのうちに、愛犬・愛猫が慢性的な睡眠不足に陥っている可能性があるのです。
原因2:「身体的なストレス」
犬猫の年齢に関わらず、睡眠不足の原因としておおきく関係します。
さまざまな病気によって、身体の痛み、痒み、不快感などを感じると熟睡することができません。
また高齢の場合は、認知症が原因で夜中に徘徊したり、昼夜逆転してしまうことで慢性的な睡眠不足に陥ります。
最初は「環境的なストレス」のせいでも、睡眠不足が続くことで少しずつ身体の不調が出てくることがあります。身体の不調が続くことで、夜眠れなくなる、そんな悪循環に陥ってしまうかもしれません。
要は気づかないうちに、飼い主さんが愛犬・愛猫の病気の原因をつくりだしているかもしれないのです。
犬猫が睡眠不足の時に見せる様子
犬猫の睡眠不足について、飼い主さんにもあまり知られていない、気づかれていないことをお伝えしてきました。でも睡眠不足の兆候を知っておくことで、逆に愛犬・愛猫の病気に早めに気づくことができるかもしれません。
愛犬・愛猫にこんな様子がないか、確認してみましょう。
- お腹が弱い、食が細い
- 昼間に寝てばかりいる
- 活発に動かなくなった
- 疲れやすい
- 表情が暗い、ボーっとしている
- 問題行動の増加 など
睡眠不足の場合、そのストレスによって消化器症状(下痢・嘔吐)を引き起こしやすいことが分かっています。
また夜間に熟睡できない場合、昼間にうとうとしている場合がほとんどです。
飼い主さんが「体質だから」「もう高齢だから」「大人になって落ち着いたから」と感じる小さな変化が、愛犬・愛猫からのSOSのサインかもしれません。
愛犬・愛猫に質の良い睡眠を
まずは、愛犬・愛猫の睡眠環境を見直してみましょう。
快適な温度や、静かさ、暗さなど、愛犬・愛猫が安心して眠りにつけるような環境に整えてあげましょう。寝具を見直してあげることもおすすめです。
「環境的なストレス」を取り除いても、睡眠不足の様子がみられる場合は「身体的なストレス」の可能性があります。すでに何かしらの病気がある場合は、引き続き動物病院で治療をしながら、より快適に眠れるように工夫をしましょう。
もし現段階で病気が見つかっていない場合は、まず健康診断を受けてみましょう。
犬猫が感じる身体の不快感が、もしかして病気の兆候かもしれません。
なお、栄養バランスを見直すことで睡眠の質が改善されるケースもあります。
「環境的なストレス」「身体的なストレス」を取り除くことに加えて、栄養バランスを見直すなど、基本的な生活習慣を改善することも大切です。
まとめ
愛犬・愛猫が、熟睡できている時間はどのくらいでしょうか。
私たちと同じく、犬猫も物音がうるさいなどの「環境的ストレス」や、身体の不快感による「身体的ストレス」によって睡眠の質が大きく低下してしまいます。
飼い主さんが「もう高齢だから」「大人になって落ち着いたから」と感じる小さな変化が、愛犬・愛猫からのSOSのサインかもしれません。
一度、愛犬・愛猫の睡眠環境を見直しつつ、身体に不調を感じていないか定期健診などで確認してみましょう。
何か気づいたことがあれば、早めに動物病院で診てもらいましょう。
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