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【専門医監修】愛犬が汗っぽくて臭い|症状・原因・予防法

愛犬がしっとり濡れているようで、なんだか臭い…こんな風に感じたことはありませんか?

今回は、皮膚科専門医の大嶋有里先生に「犬の多汗症(たかんしょう)」について教えていただきました。

多汗症の症状・原因・予防法を知って、愛犬の皮膚の健康を守りましょう。

監修

大嶋 有里 先生

獣医師/アジア獣医皮膚科専門医

犬と猫の皮膚科

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多汗症(たかんしょう)って?

愛犬がしっとりしていて、なんだか臭い…こんな風に感じたことはありませんか?
もしかしたら、それは「多汗症(たかんしょう)」かもしれません。

多汗症は、「汗の分泌が過剰になっている肌」のこと。
体質や病気、環境などが要因となって、比較的若いうちから発症するといわれています。

症状から「あぶら症(脂漏症)」と間違われてしまう場合がありますが、スキンケア方法は全く別物です。

ちなみに、犬では、体温調節を担うエックリン汗腺は、肉球や鼻平面にしかありませんが、身体全体にアポクリン汗腺が分布しています。そのため、犬の多汗症というと、通常は、アポクリン汗腺からの分布が過剰になっていることを示します。

「あぶら症(脂漏症)」についてはこちらの記事をご参照ください

具体的にどんな症状なの?

  1. しっとりとした見た目・触り心地
  2. もわっとした臭いが強い
  3. 赤み・痒みがみられる

やや濡れているような感じが、首やわきの下、お腹、股周辺によくみられます。
ベトベトというよりも、しっとりした感触があります。

臭いは独特で、もわっとした印象があります。
アトピー性皮膚炎など、他の皮膚病が原因で発症していることもあります。

汗っかきの原因は?

汗っかき(多汗症)にはさまざまな原因がありますが、大きく2つのタイプに分けられます。

原因1:遺伝的に多汗症になりやすい体質(先天的)

遺伝的に汗の分泌が多い体質の場合です。

ヨークシャーテリアやミニチュアシュナウザーなどが代表的ですが、他の犬種でもこの体質を持っている場合があります。この場合は、若いうちから皮膚や被毛にしっとりとした感触があり、歳を重ねるごとに少しずつ悪化するケースが多いです。

体質のため完治させることが難しく、定期的な薬浴(治療・状態維持のためのシャンプー)を続けるなど、長い目でうまく付きあっていく必要があります。

原因2:体質とは関係なく、さまざまな要因が関係している(後天的)

精神的な要因、アトピー性皮膚炎などさまざまです。
この場合は原因を取り除くことで良くなるケースがありますが、一度良くなってから再発するケースもあります。

また、特に高温多湿な夏は、症状が悪化することがあります。適切なスキンケアを続けることで、再発防止につなげましょう。

多汗症は「膿皮症」になりやすい

犬の皮膚の表面には、人と同様に、もともとたくさんの菌(常在菌)が存在しています。

皮膚のバリア機能が低下したり、気温や湿度が上昇すると、この常在菌たちが弱った皮膚の表面で増殖して悪さをします。これが皮膚の感染症で、感染した菌の種類によって病名・症状などが変わります。

多汗症のワンちゃんは、皮膚のpHが上昇しています。pHの上昇そのもの、もしくはpH上昇によるバリア機能の低下により、細菌が皮膚の表面や毛穴で増殖しやすくなっています。

皮膚の細菌感染症は犬では膿皮症と呼ばれており、膿皮症になると、皮膚に赤みやかゆみがみられます。

予防法・適切なスキンケア

体質が原因の多汗症は、なるべく今の状態から悪化させないように維持することが大切です。
具体的には、沐浴(水で洗い流すこと)が効果的です。
数日間に一度など、頻繁に汗を洗い流してあげましょう。

しかしながら、頻繁な沐浴がかえって精神的な負担になることもあり、状態を見ながら回数は決めましょう。体質のため完治させることは難しいです。

適切なスキンケアを続けるなど、長い目でうまく付きあっていきましょう。

後天的に発症している場合は、多汗症を引き起こしている原因を早めに特定して、取り除いてあげる必要があります。治療が遅れると慢性化して治療が長引いてしまうことが多いため、異変に気づいたらすぐに動物病院に相談するなど、早期発見・早期治療を目指しましょう。

いま皮膚に問題がないワンちゃんでも、定期的に動物病院に通うことをおすすめします。
愛犬の皮膚の特性から適切なスキンケア方法を知っておくと、皮膚病の予防に役立ちますよ。

まとめ

「犬の汗っかき(多汗症)」について、いかがでしたか?
犬も、実は身体全体で汗をかきます。少量であれば問題はありませんが、大量であれば痒みの原因になり得ます。

汗による痒みのメカニズムはよく分かっていませんが、皮膚のバリア機能が低下して細菌が増殖したり、痒みを引き起こす他の皮膚病の悪化因子になることは確かです。
この記事を読んでいる飼い主さんは、きっと愛犬の皮膚の症状でお悩みの方が多いと思います。

今回の記事を参考に、同じような症状でお困りの場合は、かかりつけの動物病院または獣医皮膚科専門医にご相談ください。

皆さまがワンちゃんの正しいスキンケアを知って実践してもらえるように、ぜひ他の関連記事も参考にしてくださいね。

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