春先に増加〜犬のかゆみ注意報〜
かゆいは病気です!
ワンちゃんが身体を舐めたり引っかいたりする場合、飼い主さまはワンちゃんが “かゆそう” と認識していますが、あまり重症でもないし放っておけばそのうち治るかな?と思ってしまいがちです。
もしかすると、そのかゆみは病気かもしれません。
ワンちゃんの病気を悪化させてしまう前に、“犬のかゆみ.com” で、犬のかゆみについてもっと知っていきましょう。
気づいてあげたいかゆみのサイン
犬はかゆみを感じたときに、下記のようなさまざまな行動でかゆみを抑えようとします。
✅ 舐める
✅ 噛む
✅ 引っかく
✅ 擦り付ける など
これが、「かゆみのサイン」です。
これらの行動は皮膚を傷つけてしまうことから、炎症やかゆみの悪化につながります。
こんなワンちゃんの「かゆみのサイン」に気がついたら、すぐに獣医師に相談することが必要です。
犬のかゆみの原因
犬のかゆみの原因は、大きく下記の3つに分けられます。
- アレルギーが関与する場合
- 細菌やカビなどの感染症
- その他の原因 など
特にアレルギーは、特定の物質(抗原)に身体が過剰反応し強いかゆみを誘発します。
アレルギーには、犬アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・ノミアレルギー性皮膚炎・疥癬などのさまざまな種類が見られます。
犬のかゆみ治療
犬のかゆみの治療には「かゆみサイクル」を早期に断つことが重要です。
「かゆみサイクル」を断ち、かゆみを治すためにはさまざま薬や治療が実施されています。
ワンちゃんは、アレルギー反応によってかゆみを感じると、その部位を舐めたり、かいたり、擦ったりします。
それが原因で、皮膚のバリア機能が低下してしまい、炎症は増幅します。
さらに強く、また高い頻度で部位をかきむしり、どんどん症状が悪化してしまいます。
そのため、スピーディーにかゆみ治療を行い「かゆみサイクル」の悪循環を断ち切ることが治療上で重要になっていきます。
ステロイド剤
これまでかゆみ治療は、経口ステロイド剤が主役でした。
経口ステロイド薬は、プレドニゾロンやメチルプレドニゾロンが一般的です。
非常に効果が高く、早くかゆみを抑えるのが特徴で、古くからワンちゃんのかゆみ治療で最も多く使われてきました。
長期使用時には、肝臓、副腎、皮膚、筋肉など色々な臓器や組織に副作用をもたらすことがあります。
また、多飲多尿(飲水量と尿量が増える)や食欲増加、体重増加、肝酵素の血中濃度が上昇する、免疫低下などが起こる場合もあります。
ステロイド剤は有効性が高く良い薬ですが、副作用の心配がつきまとうため、同じくらい効果的でより安全な治療法が求められてきました。
また、外用ステロイド剤は人間のアトピー性皮膚炎ではポピュラーな治療剤ですが、ワンちゃんのように毛がある皮膚では、ベタベタする軟膏のような薬は敬遠されてきました。
しかし近年、スプレータイプの外用ステロイド剤が日本でも使えるようになり、選択肢の幅が広がっています。
患部にピンポイントで治療できるため、経口ステロイド剤に比べ安全に投与することができます。
※イメージ画像
しかし、強いクラスの外用ステロイド剤を長く同じ部位に使用していると、「ステロイド皮膚症」とよばれる副作用(皮膚がうすくなったり、フケが多くなる)が起きる場合があるので注意が必要です。
また、使用者がむやみに触れないように気をつける必要もあります。
シクロスポリン製剤
犬アトピー性皮膚炎の治療剤で有効ですが、効果がでるまでに時間がかかり、嘔吐や免疫抑制の副作用が起こるリスクがあります。
長期間使用してもステロイド剤のように副腎に影響を及ぼしません。
もともと免疫抑制剤であるため、免疫が過剰にはたらいている病気(自己免疫疾患など)にも用いられることがあります。
スキンケア・シャンプー療法
犬アトピー性皮膚炎では、皮膚の清潔と保湿を両立するために、スキンケアが推奨されています。
イエダニや花粉などの抗原は皮膚から直接侵入します。
そのため、抗原を洗い流し、皮膚を清潔に保つことが重要です。
また、”アトピックドライスキン” という乾燥状態の皮膚では、角質層のセラミドが少なく、抗原の侵入を防ぐ機能が低下しています。
その機能を維持するには、適切な保湿が不可欠です。
シャンプー選びも重要で、”アトピックドライスキン” のように乾燥している皮膚には保湿力の高いもの、感染症が併発しているときは抗菌力の高いもの、あぶら症の皮膚では脱脂作用の高いものが使用されています。
獣医師に相談してワンちゃんの皮膚にあったシャンプーを選びましょう。
新しいかゆみ治療
近年では医薬技術によって、効果が高くて安全な治療選択肢が増えてきており、犬のかゆみに対する新しい治療が始まっています。
ロキベトマブという注射剤の抗体医薬品は、かゆみに対して早くよく効き、安全性が高く、1回の投与で1か⽉効果が持続することが期待できます。
画像引用元:ゾエティス・ジャパン株式会社「サイトポイント® 10, 20, 30, 40 ロキベトマブ (Lokivetmab)」
また、JAK阻害剤のオクラシチニブという経口薬もかゆみに対して早くよく効き、安全性が高く、長期間投与することが可能です。
最も新しいタイプの薬で、「ヤヌスキナーゼ阻害剤」というカテゴリーに属します。
「犬アトピー性皮膚炎の治療ガイドライン」の中でも、高く推奨されている薬です。
犬アトピー性皮膚炎だけでなく、ノミアレルギ-性皮膚炎や食物アレルギー、疥癬などのアレルギー性皮膚炎に幅広く効果があります。
まとめ
上記の薬や治療法の適応は、皮膚病の原因や皮膚の状態、かゆみの原因によって異なりますので、必ず獣医師の診断のもと、適切な処置・治療を行ってください。
ワンちゃんのかゆみを取り除いてあげて、快適に過ごせるようにしていきましょう!
犬のかゆみ.com では、犬のかゆみについて詳しく知ることができます。
また「犬のかゆみ記録」でワンちゃんのかゆみの状態をあらかじめチェックしておくと、スムーズに診察ができます。
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